BOOKS:「相田家のグッドバイ」 森博嗣
本の感想を書くのに、作者名を書かないのはだめだよね。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: 単行本
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これも図書館で借りたもの。AmazonではKindle版もあるようです。
表紙の通り、家族の物語なんだけど、よくある「再生」とか「絆」ではなく
家族史を描きながら、「自分にとって家族(とくに両親)って何なのか」を
見つめ直して再構築する話。
Amazonでのレビューを見ると、どうも筆者本人の家族をモデルとしている
らしい。ただ、自伝的小説とは言ってないので、具体的な描写に
ついては創作も多そう。父親や母親の人としての偏りや、印象的な
エピソードは、実際にあったことなのかもしれない。
どこの家庭でも「困った親戚」「家族の変わった癖」「他人には言いにくい何か」
があるものだと思う。どんなに上手くいってても、仲が良くても
大人になるとうっすらと「これって実は変なんじゃないか・・・」みたいなこと。
でも、変なことは事実としてあっても、それと自分自身との距離をはかって
相対化して一般化して、その事実を新たに受け入れる、ということまで
やる人はなかなか少ない。一番近くにある家族を遠くから見るのって
なかなかしんどいことじゃないかなと思う。
この本の主人公の紀彦は、日常的、あるいは非日常的なタスクを
淡々とこなしながらも、そういうことを考え続けていく。
静かな小説だけど、無駄な要素がなくて、書いてあるひとつひとつが
相田家と主人公を作ってるって感じがする。これ以上でも以下でもない感じ。